声明 「日本学術会議法」の成立を憂慮する―歴史に学び、学問の自由と民主主義を守ることを訴える―



「日本学術会議法案」が2025年6月11日、参議院本会議で採択され、自民・公明・日本維新の会等の賛成多数で可決された。日本歴史学協会はこれまで繰り返し、同法案が学術会議の独立性・自律性を奪い、政府の統制・管理下に置こうとするものであること、学問の自由を脅かすものであることに警鐘を鳴らし、撤回・廃案を求める声明を発してきた。今般同法案が、抜本修正を求める学術会議の決議や、多くの学協会・研究者・市民の反対を無視する形で成立に至ったことは非常に遺憾である。

戦前の日本において学術が国家権力に従属していたために軍国主義や戦争への道を回避できなかった痛苦の経験が示すように、学問の自由は社会の民主的・平和的な発展の基盤である。これまで学術会議と協力・連携しつつ日本における歴史学の発展のため歩んできた日本歴史学協会は、学術会議を事実上解体する惧れのある新法の成立を深く憂慮すると共に、歴史の教訓に学び、今後も学問の自由と民主主義を守るための活動を、学協会・研究者・教育者・市民と共に展開していく決意を表明する。


   2025年6月16日


日本歴史学協会